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部屋を思い出す
2024

W2300×D2300×H2000/麻糸/イチョウ草木染め

 

 黄色いカーテンを通して光が差し込み、それが室内で響き合うようにして部屋が黄色く染まっているように見えた体験を元に、長い 2 枚の布が空間を内包する立体作品を制作した。本制作ではその部屋を再現するのではなく部屋を思い出す感覚を主題として制作した。

 「想起」という言葉には遠近感がある。何度も思い出すことやあまり思い出さないように遠ざけていること、完全に思い出せなくなってしまっていること。過去はこういった取捨選択された「想起」を通じて再構築されたものである。そうした、過去という無数のカーテンのようなものを通して現在を見て、見られていると感じる。

 想起するという行為の中で私は、懐かしさと同時に現在とは隔絶された寂しさを感じる。それを空間化するために、例えば布の隙間から覗いて垣間見るような、あるいはその想起する部屋は入ることはできないがその隙間から漏れる光を感じることはできる、というような空間感を目指した。

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